勘定科目とは?5つの分類と仕訳方法について

2021/01/25渡邉 貴之請求Tips

勘定科目とは?5つの分類と仕訳方法について

会社で行われる取引を帳簿にまとめる際には「勘定科目」が用いられますが、この勘定科目のことをきちんと理解できていないという人もおられるかもしれません。
記帳を行う際には勘定科目の内容、および仕訳のルールをきちんと把握しておくことが必要不可欠です。
本記事では、勘定科目とは何かということや勘定科目の分類、仕訳を行う際のルールなどについて解説します。

勘定科目とは金銭の流れに貼られるラベルのようなもの

勘定科目とは、会社が行った金銭的な取引の内容・性質をわかりやすく分類するためのラベルのようなものです。
勘定科目を利用することで、会社にお金がどのように入ってきたのか、またどのようにして出ていったのかがわかりやすくなり、どのような理由で当該取引を行ったのかも判断しやすくなります。
勘定科目には決められた項目があり、帳簿を付ける人によって貼られるラベルの内容が変わるわけではないので、誰が帳簿を見ても取引の内容を正確に把握できるようにするという点でも、重要な意味があります。
また、会社の経営状態を判断したり決算書を作成したり支払うべき税金の計算を行ったりする際にも、勘定科目は利用されます。
このように勘定科目は、会社が健全な経営活動を行っていくための手続きにおいて、非常に重要な役割を担っています。

勘定科目には5つの分類がある

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一口に勘定科目といっても、会社の金銭的な取引にはいろいろな性質のものがあるので、それにともなって勘定科目にも多くの種類があります。
ただしすべての勘定科目は、「簿記の五要素」と呼ばれる以下の分類のいずれかに含まれると考えることができます。
●資産
●負債
●純資産
●収益
●費用
それぞれの要素について、説明します。

資産

資産とは会社が所有している財産で、土地や機械装置・船舶のような有形資産と、売掛金や貸付金といった無形資産に分けられます。
また、会社に収入を生み出す権利関係も資産として考えられるので、特許権や著作権・のれんなども資産に含まれます。

負債

負債とは会社にとって返済・支払いの義務があるものであり、金融機関からの借入金や、いわゆる「ツケ」で商品を購入している状態の買掛金などが含まれます。
支払い期限によって「流動債務」と「長期債務」に分類され、前者は会計期間内に支払い期限を迎えるものを指し、後者は会計期間内には支払い期限がやってこないものを指します。

純資産

純資産は「資産-負債」で計算され、自己資本とも呼ばれます。
会社を立ち上げるために用意した「資本金」や、会社を立ち上げるために用意した自己資金のうち資本金に組み入れられなかった「資本準備金」、事業が軌道に乗った際に発生する「繰越利益剰余金」などが、純資産に含まれます。

収益

収益は、会社の商品が購入されたり提供しているサービスが利用されたりすることで会社に入ってくる収入を指します。収益に含まれるものでもっともわかりやすいのは「売上」です。
また、会社は事業外で収入を得ることもあり、それも収益に含まれます。
そのため、株式を所有している場合の受取配当金や、普通預金・定期預金などから生じる受取利息も収益となります。

費用

費用は、事業を行う際に支払う必要があるお金です。仕入れを行う際に仕入れ先に支払う「仕入高」や社員に支払う給与が該当する「給与手当(給料手当)」、商品・サービスの販促を目的として広告を行う際に必要な「広告宣伝費」などが該当します。
会社が事業を行ううえではさまざまな支出が発生しますが、それらすべてが「費用」に分類されるわけではありません。収益をあげるために必要な支出のみが費用に含まれることを理解しておきましょう。

勘定科目は簿記で必要とされる

勘定科目は簿記を行う際に必要ですが、簿記には「単式簿記」と「複式簿記」の2種類があります。

単式簿記:1つの取引を1つの勘定科目で記帳する

たとえば3万円の商品を販売した場合、
●収入 商品売上 3万円
のような形で記帳を行います。
取引ごとにシンプルな形で記帳を行うことになるので、複雑な簿記の知識がなくとも記帳を行うことができるのがメリットです。
ただし、単式簿記では基本的に現金の増減を記帳していくだけであり、その結果として財政状態がどのようになっているかということまでは把握できないということは、大きな欠点です。

複式簿記:1つの取引を2つ以上の勘定科目を用いて記帳する

上記で例に挙げた3万円の商品を販売した場合、
●現金 3万円/商品売上 3万円
といったような形です。
このとき左側にくる項目を「借方」、右側に来る項目を「貸方」と呼びますが、1つの取引を借方と貸方の要素に分類して記帳することを「仕訳」と呼びます。
取引の結果として財政状態がどのように変化したのかを表すことができるのが、複式簿記の大きなメリットです。

勘定科目を用いて複式簿記で仕訳を行う際の5つのルール

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簿記には2つの種類があるということを上述しましたが、一般的に会社では単式簿記ではなく複式簿記が行われるので、仕訳のルールをきちんと把握しておくことが重要です。
複式簿記で仕訳を行う際のルールとしては、以下のようなことが挙げられます。
●借方と貸方は必ず対応する
●必ず2つ以上の勘定科目が用いられる
●勘定科目は自由に決めることができる
●一度決めた勘定科目は一貫して使い続ける必要がある
●他者が見てもわかりやすい決め方を心がける
それぞれのルールについて、説明します。

1. 借方と貸方は必ず対応する

複式簿記で記帳を行う際は借方と貸方は必ず対応しなければならず、借方のみもしくは貸方のみというような記帳の仕方は行いません。
単式簿記から簿記を始めた人にとって、この「借方」と「貸方」という概念はなかなか理解しづらいかもしれませんが、「習うより慣れろ」という考え方が重要です。
できるだけ多くの取引例を実際に手を動かして仕訳してみることで、複式簿記での記帳方法を徐々に理解できるようになります。

2. 必ず2つ以上の勘定科目が用いられる

複式簿記での記帳には、必ず2つ以上の勘定科目が用いられます。
たとえば「20万円の商品が売れた」というような場合、「商品売上 20万円」という記帳はもちろん必要です。
しかしこれだけで十分かといわれると決してそうではなく、売上代金を現金で支払ってもらったのか、クレジットカードで支払ってもらったのか、もしくはポイントなどを消費して支払ってもらったのかなども、記帳しなければなりません。
取引には複数の関係者が関わる以上、それぞれの視点から見たときの取引の意味合いは異なります。
複式簿記では、取引の複数の側面についてきちんと仕訳を行うために、必ず2つ以上の勘定科目が用いられるのです。
なお、勘定科目が2つではなく2つ「以上」というのは、たとえば支払いに関して手数料が発生したような場合は、それも別途仕訳を行う必要があるからです。
たとえば商品Aの代金として20万円が振り込まれた場合であれば、下記のようになります。
日付 借方 貸方 摘要
科目 金額 科目 金額
○年△月□日 普通預金 199,460 売上 200,000 商品A
支払手数料 540 上記振込手数料

3. 勘定科目は自由に決めることができる

勘定科目には、「このような取引においてはこの勘定科目を用いなければならない」というような、厳密なルールが存在するわけではありません。
そのため、取引内容から大きく外れていないようであれば、どのような勘定科目を用いてもかまいません。
たとえばオフィスで用いるボールペンを購入した際に、「消耗品費」という勘定科目を用いるのか「事務用品費」という勘定科目を用いるのかは、乱暴な言い方をすれば担当者次第です。
また、少し特殊な取引を行って既存の勘定科目に該当しそうな内容のものがないという場合は、自分で勘定科目を作り出してしまってもOKです。
A社からB社に転職した際に、同じ取引でも異なる勘定科目を用いているというような事態に遭遇することもあるかもしれませんが、勘定科目にはある程度流動的な部分があるということは、念頭に置いておくようにしましょう。

4. 一度決めた勘定科目は一貫して使い続ける必要がある

勘定科目は自由に決めることができますが、ある取引に対してAという勘定科目を用いた場合、今後その取引に対してはずっとAという勘定科目を使い続けなければなりません。
先ほどの例を用いると、オフィスでのボールペン購入に対して昨年度は「消耗品費」の勘定科目を用いたけれど、今年度は「事務用品費」の勘定科目を用いる、ということはできません。
勘定科目が一定でないと、決算書での集計や管理会計での比較・分析が行えなくなってしまうからです。
これを「継続性の原則」と呼び、特殊な例外を除いては最初に設定した勘定科目を使い続けなければならないことには、注意が必要です。

5. 他者が見てもわかりやすい決め方を心がける

勘定科目は自由に決めることができるとはいえ、なるべく他者にもわかりやすくイメージしやすいものにすることを心がけなければなりません。
1度決めた勘定科目は、その命名者が会社を離れた後も使われ続けることになるため、イメージしにくいものにしてしまうと後任の担当者が困ることになってしまいます。
また決算書は、取引が正当に行われていることを確認するためや経営状況を把握するためなどに、税務署や金融機関などの外部組織が確認することもあります。
そういった場合に備えるという観点でも、他者が見てもわかりやすい決め方を心がける必要があります。

勘定科目をしっかりと把握してルールを守って仕訳を行おう

勘定科目は取引や金銭の流れのラベルとして用いられるようなもので、複式簿記で仕訳を行う際には必ず用いられます。
勘定科目には非常に多くの種類がありますが、いずれも資産・負債・純資産・収益・費用のいずれかに分類されます。
自分で勘定科目を作り出すこともできますが、その際は他者にもわかりやすい決め方を心がけるなど、ルールを守ったうえで仕訳を行うことが重要です。